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9月6日(木)
【メインコンファレンス】
第三部 PDFのバーションの違いとその注意点
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モデレ−ター:株式会社情報システムエンジニアリング 黒田 聡(PDF Conference実行委員)
スピーカー1:株式会社ビィーガ 尾崎 公治 氏
スピーカー2:株式会社ティー・ピー・シー 足立 仁(PDF Conference実行委員)
Adobe Acrobat日本語版にはAcrobat 3.0,Acrobat 4.0,そして最新のAcrobat 5.0と3つのバージョンが存在する。PDFもまた,PDF1.2,PDF1.3,最新のバージョンPDF1.4という3つのバージョンが存在する。この双方のバージョンがどのような関係にあるのかは,いまだユーザー側はきちんと整理したり,情報がシェアされていない印象を受ける。
最近では,Acrobatだけでなく,Adobe Photoshop,Adobe Illustrator,Adobe InDesignでもPDFを生成することができる。Acrobatで生成したPDFと,他のアプリケーションで生成したPDFとは,どのような関係にあるのかという疑問が湧いてきた。
この企画にあたって,PDFコンファレンス実行委員会がAdobe社を取材し,尾崎氏,足立氏の協力のもと,検証可能な範囲は検証を行い,その結果が発表された。
■概論(尾崎氏)
●PDFを用いたソリューションは,一般企業でも必要になりつつある。申請書など,最終書類として,ある程度形の決まった文書は,レイアウトに“ズレ”が出ないものが求められる。例えばMicrosoft Wordの書類では,プリンタドライバの環境,フォント,OSの環境によってレイアウトが崩れてしまうことがある。これでは申請が通らないなど,業務に差し支えが生じる。結果として,レイアウトを固定して受け渡しのできるPDFに注目が集まっている。
●PDFの生成法
PDF生成のプロセスは,Adobe社のアプリケーションから直接作る場合と,Adobe Acrobat Distillerから作る場合,PDF Writerから作る場合,そしてAcrobat自体から作る場合の4ケースがある。
[説明]
- ケース1:Adobe社アプリケーションから生成
- Illustrator,Photoshop,InDesignに適用。
アプリケーション内からファイルを直接PDFを生成し,保存(セーブ)する。
- ケース2:Adobe PageMaker,Adobe FlameMakerに適用。
- 外部のDistillerを起動する。PSファイルを中間ファイルとして生成し,それをDistillerに渡す。
- ケース3:PDF Maker Macroを用いてDistillerから書き出す
- PDF Maker Macroとは,MS Office(2000まで)がインストールしてある環境下でAcrobatをインストールすると自動的にOfficeシリーズにインストールされるマクロ。Windows版のみ存在する。
MS Office,おもにMicrosoft Wordに利用。Acrobat 4.0の段階では,MS OfficeにDistillerからの書き出しが行なえるマクロ,Excel,PowerPointならばPDF Writerを動かすマクロが追加された。Acrobat 5.0では,PDF Writerからの書き出しも可能だが,基本的にすべて,Distillerからの書き出しを行うマクロを利用して書き出しを行う仕様となっている。
ケース2とケース3は,Distillerを利用するという点では同じだが,まったく同一プロセスという訳ではない。例えばMicrosoft Word 2000からPDF Maker Macroを起動すると,選択画面が表示され,DistillerかPDF Writerからの書き出し選択が行なえる。通常はDistillerを起動させ,ケース2と同様にPDFを生成する。PDF Maker Macroは,Wordの文書情報から見出し情報,しおりを自動生成してPSファイルに付加する機能を持っている。
また,PDF Maker Macroを使わず,あくまでプリンタドライバを指定して出力する,という場合には,PDF Makerを直接Distiller(プリンタ)へ経由させる。
- ケース4:PDF Writerを利用する
- また,ExcelファイルをAcrobat 5.0でPDF化したい場合,PDF Maker Macroだけではシート1,2,3,4と分かれたものが,その通りに出力されない。それを回避するため,一度プリントファイル,PSファイルに吐き出す。その上でDistillerを起動してPDFを作成する。
- ケース5:Acrobatを使ったPDF作成
- Acrobat 5.0は,テキスト,ビットマップなど,諸々のファイルを読み込んでPDF化し,セービングする方法もある。
[Distillerで作ったPDFとPDF Writerで作ったPDFの違い]
MacintoshやWindowsなど,いろいろな環境で,どこでも等しく表示できるPDFを作るためには,Distillerの利用が望ましい。
Distillerで生成されたPDFとAcrobatのPDF Writerで生成されたPDFの違いは明らかである。例えば,プリンタをDistillerに選んだ上で印字テストをすると,Windowsの印字テスト用のデータがPDFになって出来上がる。リンクされるファイルは6つ程度。PDF Writerで同様の作業を行い,印字テストPDFデータにリンクされるファイルは3つ程度である。つまり,明らかに通ってくるプログラムが違うということである。
PDF Writerでは,キャラクターマッピング(OS/アプリケーションの依存によるフォントイメージの切り替えを行う)などの大きなデータはパスしない。
PDFをPDF Writerで作成してもDistillerで作成しても,作業を行ったマシン上での基本的な画面表示は行なえるはずである。ただし,PDFをWindows NTで表示する,あるいはWindows NTで作成したPDFをWindows98環境のマシンで表示する場合,キャラクターマッピングの切り替えは効かないため,OSに依存するフォントのイメージは,文字化けした状態で表示されてしまう。
●Acrobatのバージョンへの認識
Acrobat 4.0とAcrobat 5.0は,基本的な構造に大差はないが,PDF Maker Macro機能と,プリンタドライバの機能に,やや差が出ている。
- ・PDF Maker Macro機能の違い
- 5.0は,PDF Writerでの出力を想定せず,あらゆるマクロがDistillerを通ってPDFを生成する。PDF生成法で述べたExcelファイルシートの通し出力に関する手間も,5.0で解決されると思われる。
- ・プリンタドライバ機能の違い
- ドライバの役割自体に若干の違いが見られる。4.0におけるプリンタドライバの役割は,フォント情報を詳細に設定して管理を行い,フォントをまとめてDistillerに渡すという重要な役割を受け持っていた。5.0ではDistillerがフォント管理の役目を負うため,プリンタドライバ側にその機能がなくなった。4.0で起こっていたプリンタドライバとDistiller間におけるフォント情報の矛盾という問題も,フォント管理をDistillerに任せることで解決している。すなわち,プリンタドライバの役割は従来より遥かに小さくなっている。
●AcrobatとPDF
Acrobat日本語版のバージョンは,3.0,4.0,5.0がある。PDFを生成するDistillerにも,3,4,5の各バージョンがあり,作成されるPDFも,1.2,1.3,1.4というバージョンがある。これは1.3の機能を1.3が含み,さらに1.4はその2バージョンの機能を含むという構造になっており,それぞれ互換性のある形式である。
初期の頃,例えばAcrobat 3.0とPDF1.2というデータ形式は,どちらが先に完成したとも言えなかった。しかしその後,Acrobat 4.0やAcrobat 5.0では,先にアプリケーションのプログラム機能を決めてからPDFの機能を決めるという訳ではなくなった。むしろPDFの仕様を先に固めてから,追いかける形でアプリケーションが開発されていると考えて良いだろう。
ここで留意したいのは,例えばPDF1.4の仕様書に記された機能がAcrobat 5.0に全部盛り込まれているということではない,ということである。ここを勘違いすると,利用できる機能に関して,混乱を起こしてしまう。
●用途に合わせてAcrobat,PDFのバージョンを選択する
バージョンアップに従い,Acrobatはさまざまな機能が順次追加されている。PDF1.2から1.3にバージョンアップした際,最適化機能やジョブオプションの保存,CMYKのオプションの追加,注釈機能拡張などがなされた。PDF1.4では,パスワード機能,言語バージョン(PDFのバージョン情報)の管理強化,カスタムシームアップ,キャラクタマッピング機能強化などがあった。
機能の少ないバージョンならデータサイズは小さい。バージョンアップに従い,機能が増えれば,データサイズも大きくなる。そこを考え,用途に合わせてPDFのバージョンを選ぶべきである。ここで選ぶのはPDFのバージョンであって,必ずしもAcrobatのバージョンを選ぶというものではない。
Microsoft Word文書(24KB)を同じ機能条件でPDF化する実験を試みた。
PDF1.2を作成:5KB
PDF1.3を作成:7KB
PDF1.4を作成:8KB
文書量が多くなればなるほど,データサイズの量の差は大きくなっていくことがわかる。
基本的なAdobe社のスタンスは,上位互換性である。従ってAcrobat 5.0であればPDF1.2,PDF1.3,PDF1.4,いずれのバージョンも基本的に表示,出力は保証される。よって,Acrobat 5.0を購入したからと言って,作るPDFのバージョンまで一様に上げる必要はない。
●各バージョンの互換性
・上位互換性
PDF1.2,PDF1.3,PDF1.4について,ファイルの上位互換性は基本的に保たれている。しかし,例えばPDF1.2をAcrobat 3.0で読むと一部テキストが抜けるなどの細かい障害については,Adobe社のサイトで報告され,障害に対する解消方法が同時に掲載されている。
・下位互換性
下位互換性Adobe社では保証していない。
- 1.PDF1.2,PDF1.3とAcrobatバージョンの互換性
- 下位バージョンではフォント情報や注釈などの機能の置き換えが起こる。しかし,各バージョンに追加された機能だけが置き換えられるのであり,ファイルが完全に開けない,などという全然使えないケースはあまりない。
- 2.PDF1.4とAcrobatバージョンの互換性
- PDF1.4を下位バージョンAcrobat 4.0,あるいはAdobe Acrobat Reader 4.0で開く場合にも,ファイルが開けないということはなかった。しかし,例えばフォントエンベッド情報は再現できても,タッチアップに関しては,フォントの依存がある。
Acrobat 5.0,PDF1.4からOpenTypeがエンベッドできるようになっている。OpenTypeは,現状ではすでにかなり多くの種類がマシンにフォーマットされているが,OpenTypeフォーマットそのものをエンベッドしてしまうと,OpenTypeという概念を持たない旧バージョンのAcrobat,Acrobat Readerでは表示できない。
そこで,Acrobat 5.0の機構として,OpenTypeの中身を引き出し,そのデータをPDFに埋め込むとというプロセスが備わっている。OpenTypeは,外からはOpenType,中身がType1やTrueTypeであるフォーマットなので,OpenTypeの中身を開けて中身のデータを引き出し,PDFに埋め込めば,Acrobat 4.0でも読むことができる。つまり,OpenTypeをエンベッドした場合に起こる障害は,基本的にはクリアされているということである。
- 3.同一データを別バージョンに変更した場合
- PDFのバージョン自体は,非常にあいまいなものである。しかし,文書の順番,整合性の概念のないPDF1.3のファイルを,整合性をもつPDF1.4に機械的にバージョンアップした途端に,段落情報などをきちんと認識する,ということはあり得ない。元バージョンで持たない情報は,バージョンアップしても自動追加はされない。ただし,再定義を行えば,文書の連続情報を持つフォーマットになる。
■具体例と概論補足(足立氏)
●具体的なPDF生成方法について
・Distiller:Acrobatに付属。
・Adobe PDF Library:Adobe社のアプリケーションから直接PDFを書き出すツール
(例外:PageMakerはDistillerを使ってPDFを出力する)
・Normalizer:印刷・プリプレス業務用として,プリプレスベンダーが開発したワークフローシステム。内部的にPDFを処理して出力する機構。
●アプリケーション別PDFのバージョン
・PDF1.2:Acrobat 3.0,PDF Writer
・PDF1.3:Acrobat 4.0,InDesign 1.0
・PDF1.4:Acrobat 5.0,Photoshop 6.0,Illustrator9.0
各アプリケーションに関しては,下位互換性があるため,生成されるPDFのバージョンは必ずしも一様ではない。バージョン特有の追加機能を持つPDFを作った場合,そのPDFのバージョン,あるいは上位バージョンに対応するアプリケーションでないと再現されない。
●PDFの最新バージョンPDF1.4とPDF1.3の違い
画像データからPDFを作成する時に,PDF1.4の利用できるアプリケーションを使えば透明レイヤーを保持したままPDFを作成できる。しかし,PDF1.3では1.4の機能を使った部分は再現できず,背景は白くなってしまう。
Acrobat 5.0,Photoshop 6.0とIllustrator 9.0はPDF1.4をサポートしている。Photoshop 6.0は,“透明レイヤーを保持”チェックボックスをONにすることで,生成PDFは1.4になり,Acrobat 5.0やIllustrator 9.0は,PDFのバージョンを直接選択できる。
PDF1.4の機能を使ったデータをInDesign 1.0へ貼り込み,PDFを書き出した場合は,その機能は再現されない。それはInDesign 1.0がサポートするPDFのバージョンはPDF1.3だからである。
PDFを印刷する場合には,作成時にバージョンについての注意が必要である。それは,2001年8月現在,PDF1.4に対応したRIPは存在しておらず,最新のRIPを購入してもPDF1.3までしかサポートしていないからである。PDF1.4の機能である透明レイヤーは印刷再現できず,白色になってしまうので,その下にあるオブジェクトは印刷できない。
●PDFのバージョンに対する考え方
PDFのバージョンが高いからと言って,下位バージョンでは対応できないとは一概に言えない。Acrobat 5.0で作成したPDFはPDF1.4だが,PDF1.2でカバーできる範囲の機能しか使っていない場合もある。それを調べるには,ファイルの中を解析するしかない。実際には下位バージョンのアプリケーションで開くなどの検証が必要である。
[質議応答]
Q フォントセットのバージョンとPDFのバージョン,Acrobatのバージョンとの関係は?
A フォントセットとPDFとは直接関係がない。PDFおよびAcrobatに関係するフォント機能は,OpenTypeフォントをサポートするかどうかのみである。ただAcrobat Readerに表示される,しおりなどは別の問題かもしれない。
Q MacOSXとClassic,双方で日本語の読めるPDFは生成できないか。現在,MacOSXに標準装備されたAcrobat Reader 5.0では,しおりは日本語として読めるが,本文は文字化けしてしまう。
A MacOSXに対応したAcrobatはない。Classic環境ならば見ることができるはず。表示するアプリケーション側,Acrobat Readerなどの問題ではないか。しおりが表示されるのは,しおり部分がシステム側のフォントに依存しているからである。
Q Acrobatの各バージョンに搭載されたPDFWriterの機能は同一か
A 機能上の差はなく同一である。
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