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9月6日(木)
【メインコンファレンス】
第二部 クロスプラットフォームとOpen Type |
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モデレ−ター:アドビシステムズ株式会社 山本太郎 氏
スピーカー1:アドビシステムズ株式会社 岡本明彦 氏
スピーカー2:株式会社ニィス 伊藤 晃 氏
スピーカー3:株式会社モリサワ 杉野良一 氏
アドビ社の山本氏はOpenTypeフォントの特徴,WindowsDTPを含めたクロスプラットフォームの将来を予測。モリサワ社の杉野氏,ニィス社の伊藤氏からは,OpenTypeへの対応,さらにMac OS Xに対する各社の見解が述べられた。会場の参加者の比率は,制作の従事者と製版・印刷の従事者がそれぞれ半数ずつを占めていた。
■OpenTypeの概略と位置付け(山本氏)
●OpenTypeとは何か
OpenTypeは,OSに依存しないフォントである。従来からDTPで使われているOCFフォントやCIDフォントはOSに依存するため,Macintosh,あるいはWindows対応するフォントをそれぞれ用意しなければならなかった。しかしOpenTypeならば1種類ののフォントを双方で利用することが可能である。
またOpenTypeは,輪郭線の座標データと,GSUB(異体字の置換情報)とGPOSテーブル(文字の位置情報)を含むことができる。
さらに,PostScript,またはTrueTypeのアウトラインデータも含むことができる。Adobe社では,より圧縮率の高いアウトラインフォントの記述形式「CFFテーブル」を開発し,PostScriptの表現を置き換えることによってOpenTypeを作成している。
従来のDTP組版でありがちだった縦組みでの行頭不揃いは,フォントにベースライン情報が含まれていなかったことが原因であった。OpenTypeでは,ベースラインのゼロ位置や,全角ベースでの文字位置情報を持ち,これまで文字位置の不揃いなどが起こりがちだった日本語DTP組版の問題が解決できる。
OpenTypeは,Windows2000,Macintosh OSXにおいて,基本的な文字の表現をサポートしている。それ以前のOSバージョンでは,ATMが必要である。
また,追加のメトリクス機能や異体字の置換機能を活用したい場合は,別途アプリケーションでのサポートを要する。
サポートされているアプリケーションは,現在Adobe InDesignがあり,MacintoshおよびWindowsに対応している。
●OpenTypeの種類
・OpenType Proフォント:文字セットAdobe-Japan1-4に対応
・OpenType Stdフォント:文字セットAdobe-Japan1-3に対応,従来のCIDフォントと同様のグリフをカバー
[文字セットについて]
- ・Adobe-Japan1-3
- 8000文字程度の文字セット「Adobe-Japan1-2」に,縦組み用に回転したグリフを加えた。
- ・Adobe-Japan1-4
- Adobe-Japan1-4は,フォントベンダー各社の提案やコメントをベースに仕様を決めた。
Adobe-Japan1-3をもとに,商業印刷ベースでこれまで足りなかった異体字,記号類,合字など,約6000字のグリフを追加,15444文字となった。
標準表示されるJIS文字は,1990年の字形に準拠している。その他,標準JISにない異体字,IBMで採用されているセレクト漢字,補助漢字,補助漢字の異体字,Unicodeの漢字の一部,K-JIS(共同通信社で使用している文字)の一部も収録。
●クロスプラットフォームの意味
従来のDTPはMacintoshベースが主流だった。しかし現在,文書スタイルの多様化により,印刷の現場では,さまざまな不具合が起きている。今や電子メールでの入稿や,Windowsソフトで作成されたファイルをMacintosh上で編集することも当たり前。さらに,組版,レイアウトも多様化しており,ファイルの文字化けやレイアウト崩れなどの問題も日常茶飯事である。
このようにさまざまなOSやソフトウェアが混在している環境では,クロスプラットフォームということが重要になってくる。
PDF制作・運用においても,環境は混乱していた。メーカーは,クロスプラットフォームに留意して,アプリケーションやフォントを設計していくことが今後必要である。また,和文フォントと欧文フォントの使い勝手の差異を解消していかなければならない。
多様な環境や方法で制作,利用されつつあるPDFにおいても,文字は再重要な要素である。今後,印刷・出版業界で必要とされている品質の文字を制作するとともに,文字環境サポートのさらなる充実が望まれるであろう。OpenTypeは,どんな環境でも文字を正確に再現する,基盤的な技術ととして位置付けられる。
■OpenTypeへの取り組み(杉野氏)
●MacintoshとWindowsのOSの変遷と,フォントの変遷
1990年にApple社が漢字Talk6.07を発表。同時期にAdobe社がATM専用版の販売を開始した。1992年にモリサワ社はOCFフォントを発売,以後続々とフォント販売が開始された。日本語フォントが充実するとともに,DTPも急速に浸透していった。
MacintoshのフォントはType1だったが,仕様は非公開だったため,Type1に代わるフォントとして,Apple社とMicroSoft社の2社によってTrueTypeが開発され,Windowsに採用された。
1996年頃にQuick Draw GXが本格的にアナウンスされた。これはMac OS9からはOCFフォントが使えなくなることを意味していた。そこでモリサワ社は,Adobe社とともにOCFからCIDフォントへのシフトチェンジとともに,文字数を増やすことを決めた。
1998年に旧CIDフォントを発売。導入当初は,現場レベルで従来のOCFとCIDが混在し,書体の区別がつかない,体裁が狂うなどの問題が起きた。さらに1999年に2バイトフォントのエンベッドが可能なAdobe Acrobat 4.0日本語版が発売されたことなども契機となり,同年,これまで非公開だったアウトライン情報の公開を決め,PDFへのエンベッドを可能にしたNewCIDフォントを発売した。
そして2000年,新しいOSバージョンのMac OS Xでは,Windowsと同一のOpenTypeへ対応することになり,標準バンドルフォントはヒラギノ(DNS社)を採用すると発表された。その後,2001年2月,PAGE2001にて,モリサワフォントのOpenTypeを発表した。
OpenTypeの登場によって,MacintoshとWindowsのフォントフォーマットが統一されることになる。
●クロスプラットフォームの実現
これまでモリサワの扱うWindows対応フォントは画面表示専用の「Bフォント」のみ。BフォントはPDFにエンベッドできないという制約があった。
OpenTypeは,クロスプラットフォームを実現できるフォントフォーマットであると同時に,ダイナミック・ダウンロードが可能であるという利点がある。OpenTypeは“ホストベースフォント”とも呼ばれており,ダイナミック・ダウンロードに対応したアプリケーションとプリンタドライバがあればフォントを出力できる。これは,将来的にプリンタフォントの不要な時代になる可能性があることを意味している。
●モリサワ社のOpenTypeに対する基本方針
モリサワ社のOpenTypeは,Adobe-Japan1-4を採用,15444文字に対応する。新規のグリフは6724にのぼる。
- [基本姿勢]
- ・OpenTypeとNewCIDは平行して販売を行う。フォントメニュー名やPostScriptのフォント名の混同を避け,OpenTypeとNewCIDの共存を可能とする。
・ホストがクラッシュした場合の再インストールの不便さを解消する。
- [開発予定]
- 現在,26書体のOpenType化を予定している。これらはOpenType Pro(Adobe-Japan1-4採用)でリリースされる。
.対応を予定しているシステム環境
Macintosh:Mac OS8.6以上,Mac OS9.x,Mac OS X。Mac OS X以外はOpenType対応のATM4.6.1が必要。
Windows:Windows98 Second Edition,Windows Me,Windows2000。Windows2000以外はOpenType対応のATM4.1が必要。
(リリース予定,価格は2001年9月現在未定。)
オペレーション面では,異体字をスクロールするにつれて動作が遅くなったり,外字を探す場合に手間がかかるなど,今後改善すべきポイントがある。
●Mac OS Xへの対応
- [OS対応]2001年9月現在
- ・Mac OS X Classic※1環境:現在NewCIDフォントは対応済み。OCFは基本的に対応していない。
・Mac OS X Carbon環境:NewCIDフォントは対応開発を検討中。OCFは対応していない。
- [アプリケーションとフォントの対応]2001年9月現在
- ・Mac OS X Classic環境では,InDesign1.0のみ,詰めやアウトライン,異体字切り替えが可能。
・Mac OS X Carbon環境で利用できるアプリケーションは存在していない。
※1 Mac OS X Classic
Mac OS XからMac OS9.xをエミュレートする環境。Mac OS9.x対応のソフトをそのまま使用可能とする。
※2 Mac OS X Carbon
Mac OS Xの持つ機能を生かす環境。Mac OS X Carbon用の対応ソフトが必要
現行のフォントは,OCFないしNewCIDが主流である。OpenTypeが普及するには,ハード,ソフト開発などのスパンを考え,2年程度かかると予測する。
ユーザー側も,OpenTypeに“慣れる”ために,対応アプリケーションであるInDesignに触れ,OpenTypeを知っておくことが必要と思われる。
■ニィス社のOpenTypeへの取り組み,NISフォント紹介(伊藤氏)
ニィス社では,PostScriptフォントは「字識人」を発売している。Macintoshに加え,Windowsバージョンも用意されている。現在,Windows版PSフォントはニィス社のみ提供している。
TrueTypeは「字多楽」(じたらく)を発売している。この製品もMacintosh版とWindows版がある。
「字多楽」や「字識人」は,パッケージ内に全部の書体を格納してしており,“モノ”として扱っていた印象がある。今回発売予定(2001年9月現在)の新製品は,書体のイメージごとにパッケージを作成して提供することを試みる。OpenTypeも制作中であるが,まだ利用環境が整っていないこともあり,発売時期は未定である。
現在,ニィス社の製品は,OpenTypeとPostScriptフォントの名称が同じであるため,共存ができない。また,プリンタフォントレスについても現在未検証である。そこで,OpenTypeと一緒に,同名のPostScriptの引き出しも可能なフォントを用意している。
[単線ストロークフォント]
OpenType,PostScriptフォント,TrueTypeのいずれもアウトラインフォントというフォーマットで作られている。言ってみれば輪郭線で白と黒に塗り分けて文字を形作っているのである。
ニィス社は,非アウトラインフォント“単線ストロークフォント”を開発した。トランプやネズミのしっぽなどで,文字を形作ることができるフォントである。
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