 |

 |
9月6日(木)
【メインコンファレンス】
第一部 Adobe Acrobat5.0日本語版の新機能(印刷業界編) |
|
モデレ−ター:株式会社ティー・ピー・シー 足立 仁(PDF Conference実行委員)
スピーカー1:アドビシステムズ株式会社 岡本明彦 氏
スピーカー2:株式会社ソフトウェア・トゥ 川井浩司 氏
スピーカー3:ケミカル・リサーチ株式会社 吉田秀利 氏
Adobe社の岡本氏から,Adobe Acrobat5.0日本語版に新たに追加・強化された印刷関連機能の紹介が行われ,次に,ソフトウェア・トゥ社の川井氏からはPDFのプリフライトチェックや修正を行うプラグイン「Enfocus PitStop」が,ケミカル・リサーチ社の吉田氏からは,PostScriptから目的に合ったPDFを生成するAdobe Acrobat Distiller連携ソフトウェア「PreFlight2000 Colour Chameleon」が紹介された。
なお当日,会場内リサーチで,参加者の半数はAcrobat 5.0を利用しており,残り半数はAdobe Acrobat 4.0を利用していることがわかった。
■印刷業界にて活用できるAcrobat5.0の新機能・強化機能(岡本氏)
●印刷データとしてのAcrobat PDF
1997年にAdobe Acrobat 3.0日本語版が発売されて以来,Acrobatはクロスプラットフォームで同じ体裁をキープしつつ共有できるツールであること,PDFはディスプレイあるいはWebブラウザで見るだけではなく,印刷でも使えるデータであるということが広く理解されていた。
“PDF化すれば,一度RIPをかけたようなものだから安全だ”という言い方をすることがある。これは,PSプリンタ印刷とPDF作成は,ほぼ同じプロセスを踏んでレイアウトデータを処理するからである。
通常のDTP業務において,レイアウトソフトでデザインしたデータはPSプリンタで印刷し,確認を行う。PSプリンタの内部で,データはPostScriptプリンタドライバを通じてPostScriptというページ記述言語のファイルに置き換えられる。そしてインタプリタがPostScriptを1行ごとに解釈し,ラスタライザに渡し,網点やドットに変換される。その後,ビットマップデータとして出力エンジンに渡し,印刷を行う。
Acrobatの場合は,PostScriptを解析するインタプリタと同様の働きをDistillerが行う。そして網点やドットではなく,PDFとして落とすのである。従って,Distillerで作られたPDFは,印刷に適したクリアな状態のデータファイルであると言える。
●印刷業界におけるPDFワークフロー
デザイナーがDTPソフトでレイアウトしたデータをPDFに変換し,校正紙の代わりとして,Acrobatの注釈機能を使って校正を入れる。この校正のワークフローは,すでに一般的に浸透している。校正の終わったデータは,改めて高解像度のPDFに変換し直し,プリプレス工程に渡す。
Acrobatは,面付け,色変換,分版などの機能を持っていないので,ソフトウェアベンダー各社で開発されたプリプレス工程をサポートする製品を通してPDFを処理し,イメージセッタに渡す。あるいはそのまま,オンデマンドプリンティングという形で出力する。
Acrobat 3.0の発売から4年が経過した現在,AcrobatおよびPDFは,制作や印刷の現場で実際に利用されることが多くなっている。
●Acrobat 5.0新機能について
Acrobat 5.0では,Webブラウザを通してPDFを利用できる機能を多種盛り込んでいる。一般企業ユーザー,情報システム部門/情報公開責任者,そしてプロフェッショナルグラフィックユーザーという3つのターゲットに向けて機能強化を行った。
-
[一般機能]
・Microsoft OfficeからワンタッチでPDF変換
- 一般クライアントは圧倒的にWindowsユーザーが多い。Microsoft PowerPointのデータを入稿し,このまま出力してほしいといったニーズも増えているが,今後はそれらのデータをPDFに変換した上で入稿することを勧める。それはMicrosoft OfficeにAcrobat 5.0をインストールすると,Microsoft Officeの上にPDF Makerが追加され,PDFを作るためのボタンができる。このボタンは,PowerPointやMicrosoft WordのドキュメントをワンクリックでPDFに変換できる。
Acrobat 4.0でPDFを作成する時には,Distillerの他に,PDF Writerなども使われていた。そのため,Windowsユーザーの得るPDFは,品質が一定ではではなかった。しかしAcrobat 5.0は,必ずDistillerによってPDFが作られる。
Distillerには,Distillerの内容をあらかじめ設定できるジョブオプション機能がある。受注側からクライアントへDistillerの設定を指定すれば,一定の品質が保たれたPDFを入稿データとして得ることができる。
- ・オンライン注釈機能
- 校正のワークフローで活用できる。Acrobat 4.0の注釈は,オフラインで利用できる機能だったが,Acrobat 5.0はオンラインでリアルタイム校正が行える。PDFをWeb上にアップロードし,共有できる環境下に置けば,Acrobatを通じて複数のユーザーからオンラインで注釈コメントをつけることができる。
- ・セキュリティ機能
- クライアントとインターネットでファイルをやり取りする場合,改ざんされたり,第三者に盗まれたりする危険性がある。その場合に有効な機能として,Self-Signセキュリティがある。これは,あるPDFに,許可された特定の人だけアクセスできるという機能である。
応用として,PDFをセキュリティ・コンポーネントとしての利用も考えられる。守りたい画像ファイルなどをPDFにエンベッドし,Self-Signセキュリティをかけることによって,複数のファイルを守ることができる。
- ・パスワードセキュリティ
- 企業のWebサイトなどで情報公開する場合は,セキュリティは不可欠なものである。Adobe Acrobat 4.0では40bitだったキー長は,Acrobat 5.0では,最高水準128bitキー長まで高められた。PDFの開示/非開示,ドキュメントの印刷やテキスト抽出および変更などについて,アクセス制御を細かく設定できる。
- ・バッチ処理機能
- 特定のページの差し込み,一括印刷などを多数のPDFにまとめて処理を行う機能。
- [グラフィック機能]
・フォント関係
- Acrobat 5.0は,OpenTypeフォントに対応した。参照フォントとして,また埋め込みフォントとしてもOpenTypeが使える。また,Macintosh版にてTrueTypeフォント(Osakaフォントなど)を埋め込むことができる。
- ・校正支援
- オンライン注釈によるWebベースの校正を実現した。また,ICCプロファイルをAcrobat内で指定することで色のソフトプルーフが行なえる。
- ・Adobe社製品との連携の強化
- Acrobat 5.0では,Adobe社標準のカラーエンジン「ACE」を採用している。Adobe Photoshop 6.0やAdobe Illustrator 9.0のデータをPDF化し,Acrobat 5.0で見た場合,元のデータと同じ色合いで見ることができる。また,透明オブジェクト(トランスペアレンシー)にも対応し,透明オブジェクトを使ったPhotoshopやIllustratorをPDFで忠実に再現できる。さらに,PDFデータを印刷する前に,オーバープリントの確認がAcrobat 5.0のプレビュー画面で行なえる。
- ・画像の再利用
- PDF内の複数の画像を,別のファイルとしてTIFF,JPEG,GIFなどの形式で書き出せる。解像度の指定も可能。また,Acrobat 5.0のPDFページ全体を画像ファイルとして書き出せる。PDFにしか残っていない画像が,この機能によって再利用できる。
■Acrobat PDF編集プラグイン「Enfocus PitStop」について(川井氏)
●PDF利用の現状
PDFは,さまざまな情報交換に,今や不可欠なフォーマットである。情報のやり取り,Web開示,デザイン確認,プレゼンテーションツール,印刷用入稿データなど,PDFの利用は多岐にわたる。
しかし,実作業の中で,フォントのエンベッドの有無,データ容量など,PDFを作る際に頭を悩ませることも多いであろう。現在は,用途に合わせたPDFを生成することが重要になってきている。
また,クライアントから受け取ったPDFが適切な状態でない時に,ページサイズや色の扱い,フォントの変更,オブジェクトの位置を動かしたい場合も発生する。
しかし,内容を変更できないということはPDFの大きな特徴である。色や仕様の変更,オブジェクトの移動を可能にするということは,PDFのコンセプトと逆行するのではないかとの考えもあるが,実際問題として,現場レベルのニーズは高い。
一度入稿されたPDFを大きく修正する場合,PDFの元データを作ったアプリケーションに戻って作り直し,再度PDFに変換しなければならない。
その作業を支援するツールとして,「Enfocus PitStop」がある。これはPDFをAcrobat上で編集できるプラグインである。2001年9月現在,Acrobat 4.0に対応するハイブリッド版「Enfocus PitStop 4.1日本語版」が最新バージョンである。
●特徴
・Acrobat上でPDFが編集できる
・オブジェクト機能:色の変更,オブジェクトの移動・回転・サイズ変更が可能。
・ドキュメントのグローバル変更:ドキュメント全体の設定を変更する。用紙位置,版面,フォント要素について変更を行う。
・オートプリフライト機能:PDFの品質を自動的にチェックできる。
・タスクの自動化:ドキュメント全体,ページ単位,あるいは他PDFファイルにも適用可能な一括処理タスクを設定し,実行。
PitStopをインストールすると,Acrobatにメニューが追加される。PDF内のオブジェクトを選択すると,Acrobat上でテキストや画像などの属性情報が一目でわかるようになり,属性の確認や修正が簡単に行なえる。RGBをCMYKに変換したり,ヌキ合わせをオーバープリントに変更することなども可能である。
PDFは,Web開示用,印刷用,CD-ROM用と,用途によって仕様は異なり,確認事項もそれぞれである。PitStopは,それぞれの用途に合わせた確認項目セットを作成し,プリフライト後,ファイルの構造的問題,フォント状況,色状況,画像,OPI設定など,カテゴリに分けて表示できる。それぞれのエラー情報は,「無視」「注意」「強制」の3段階で警告を行う。
●まとめ
Acrobatと編集プラグインを組み合わせて利用することにより,用途に合わせたPDF作成をAcrobatで完結できる。また修正作業の効率化も実現する。結果的に,PDFの特徴を生かし,印刷データとして円滑かつ効率的に利用できるようになる。
■プリプレス用PDF生成・操作支援ソフトウェア紹介(吉田氏)
●PreFlight2000 Colour Chameleon
Distillerと連携して処理を行うPDFプリプレス/カラーマネジメントツール。Windowsプラットフォームに対応するアプリケーションである。
Colour Chameleonは,Distillerの機能をより強化するため,各アプリケーションからPostScriptを書き出してデータを解析。ユーザに合わせたカラーテーブルを設定し,Distillerに渡す。Distillerのデフォルト設定に加えて,Colour Chameleon独自の設定も行なえ,先にカラー変換を行う。
Colour Chameleonの持つPostScriptの解析とカラーテーブルを自動生成し,Distillerに渡す。また,Colour Chameleonは,ICCプロファイルのタグ“on the fly”を除外する機能を持つ。これは,出力機に依存したプロファイルは,同じPDFでも出力機によって出力結果が変わってしまうからである。
また,PDFに貼り込まれた画像のカラーデータの変更,例えばRGBからCMYKへの変換も可能である。
- [操作プロセス]
- 1.プリファレンス
- RGB-CMYカラー変換ルール,検索オプション,言語&単位,トリミング設定を行う。
- 2.PostScriptファイル選択
- Adobe InDesignやQuarkXPress,MicroSoft Officeのアプリケーションなどから書き出されたPostScript出力ファイルを,ダイアログ内で選択する。
- 3.カラー編集
- カラーのプロファイルを生成する準備として各カラーの細かい設定を行う。任意のカラーをスポットカラーに設定することもできる。また,PostScriptを解析し,ファイル内の画像データのカラースペース,フォントやパターンも検出される。
- 4.カラーテーブル
- カラー編集で生成したテーブルを保存し,新たなPostScriptファイルに割り当てることが可能。
- 5.ICCプロファイル
- PDF設定は,プリプレス用高解像度,Web用低解像度に加え,Distillerジョブオプションから選択する。Microsoft PowerPointのグラデーションデータをPostScriptデータに吐き出した場合,GDIベースのRGBパターンでは,記述に不具合が生じる場合があるが,Colour Chameleonは,その記述に対して修正を行う。ICCタグon the flyの取り出しも,ここで行われる。
- 6.Distillerリンク
- 最終的にボタンを押すと,Distillerが立ち上がり,PostScriptファイルが書き出される。一連の操作はウィザード形式になっており,それぞれの項目を入力し,実行するだけで自動的にDistillerが立ち上がる。
また,ホットキーを用いると,Colour Chameleonで使ったソフトにAcrobat 5.0の注釈機能へ,プリフライトのレポートがリンクされる。
●WebベースのPDF運用支援ツール
PDFをWebで利用する場合,大量のPDFを閲覧する必要がある場合,時間的コストが大きくなってしまう。PDFを分析し,プレビューを自動生成するドライバを現在開発中である。
|
|