Conference レビュー

7月29日(木)
【セミナー for Enterprize】
企業内定型文書の電子化と運用
記録担当:苅部 尚子 株式会社メディアリュウム

■はじめに
前半ではPDFを使ったイントラネットのアプリケーション開発について、技術的な話題を中心に事例が紹介され、後半ではPDFを使ったカスタマイズカタログデータベースシステムの開発事例が紹介された。

■PDFやXMLを使ったドキュメントの管理(佐々木氏)

企業内でデータの共有化が行われている現在、定型化文書に関してもデータベース化の要求が出始めた。しかし企業内でのデータ管理は、書類やキャビネットといった紙のメタファから脱却できていないのではないだろうか。
PDFやXMLを使ったドキュメントの管理では、ドキュメントは人間とコンピュータの両方が読める情報のコンテナとしての意味合いを持つようになる。この場合、データの管理には文書の構造を意識したドキュメントのデータと、それを見つけ出すためのメタデータ(構造やインデックス、その他の情報を管理するデータ)が必要である。その要求をサーバ側で集中処理することに、企業内のドキュメント管理の意味を見出すことができる。

■PDFを用いた業務アプリケーション開発(大坂氏)

●イントラネット内でのPDFの利用
PDFはフォームの作成が簡単で、さらにフォーマットの規格が統一されているという特徴がある。また、高品質な印刷が可能であり、記入したデータをすぐに取り出せるため、(データベースに必要な動的生成がやや困難ではあるが)定型フォームを使用した受け付け業務やアンケートなど、大量の件数を受け付ける業務に向いているといえる。

●Webサーバ間通信の問題
フジミック社では、PDFのフォーム機能を使用したシステムを作成した。
フォーム機能を使用したデータのやりとりでは、クライアントのWebブラウザからサーバへFDFデータを送信したり、さらにサーバアプリケーションからクライアントのフォームへデータを返すことができる。(※例として、フォームにデータを入力し、そのデータをサーバに登録するデモが行われた。)また、併せてFDFのデータ構造が解説された。
しかし、サーバからクライアントのWebブラウザへFDFデータを送り、サーバ内の指定したPDFファイルを開いて同時にその中にFDFデータを表示させる仕様では、WebブラウザがFDFデータからAcrobat Readerを開く前にファイルのダウンロードダイアログを開いてしまい、ユーザーの混乱を招く恐れがある。この問題を解決するために、PDFファイルを動的に生成する必要があった。

●PDFはオブジェクト単位
PDFはオブジェクト単位でできている。ヘッダ部分は「%PDF」から始まり、オブジェクト部分、クロスレファレンス部分と続き、末尾にオブジェクトの数とルートオブジェクト(ページの構成をあらわす情報と、フォームに関する情報)が入っている。オブジェクト部分内には、さらにページオブジェクトがあり、ページを構成するオブジェクトの情報が入っている。ここにはフィールドテーブルがあり、フィールド名やフィールドのタイプ、フォントの種類やサイズ、色などの情報が入っている。ファイル内に納められているオブジェクトは圧縮されており、JavaにあるDeflateという関数を使って解凍する。

●オブジェクト単位のデータベース
このシステムには、オブジェクト単位のデータベースであるObject Storeを採用した。これにより、フォームをオブジェクト化してからサーバに蓄積し、フィールド情報やテンプレートの情報などを付加してブラウザに返すことでPDFを動的に生成することが可能になった。
(※実際に、サーバに置いた申請フォーム一覧を開いて、サーバからの情報を追加 するデモが行われた。)

■PDFを使用したカスタマイズカタログデータベース(森氏)

●企業内での文書の流れ
企業内で使用する電子文書には、商品カタログや教材、マニュアル、企画提案書などさまざまなものがある。これらのデータの再利用を意識してXMLとPDFを採用した場合、見積書や注文書など、データを意識したものはXML、印刷を意識した文書にはPDFというような住みわけが考えられる。

●カスタマイズカタログデータベースシステム
現場の営業マンでも簡単に編集できるシステムで、オンデマンドプリンティングのカスタマイズカタログを作成できればというコンセプトから、システム開発がスタートした。顧客ニーズに合わせた個別カタログや、スペックの変化が激しい分野のカタログ、担当者のスキルに合わせた個別マニュアルなどに適用することが可能である。
カスタマイズカタログを作成するシステムには次のような要素が要求される。
・PDFを管理するためのデータベース
・複数のクライアントからの編集要求を高速に並列処理できるサーバ
・ネットワークの負荷を軽減できるシステム
・最終的な印刷の高品質、高速化
これらの問題は、ObjectStoreとAdobe PDF Libraryの採用、また、低解像度のファイルと高解像度のファイルを差し換えるなどのシステムによって解決した。最終的な印刷には、富士ゼロックス社のDocuColorを採用した。

●カスタマイズカタログデータベースシステムのフロー
DTP編集者が作成したカタログのデータをサーバに登録すると、OPIサーバが画像を管理して低解像度PDFを作成する。ユーザーはWebブラウザで低解像度のPDFを閲覧しながら、使用するカタログを選定する。ページの差し替えなどを行うときはサーバがファイルを結合する。ダウンロードしたファイルにAcrobat4のTouchUP機能を使用して個別情報を記入する。印刷要求があった場合はサーバでデータが差し替えられ、高解像度のPDFが印刷される。

●Print for One Publisher
カスタマイズカタログデータベースシステムの商品化に向けて富士ゼロックス社と共同開発中。
(※実際にカタログを選択してダウンロードし、情報を追加するデモが行われた。)

■所感

これまで、PDFは「電子の紙」というイメージが強い存在だったが、XMLなどの技術と組み合わせることにより、よりシステマティックな存在になりうることを実感した。このセミナーではとくに、FDFやPDFの内部構造のわかりやすい解説が大変参考になった。
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