Conference レビュー

7月28日(水)
【セミナー for Professional Publishing】
PDFとフォント
記録担当:海野 京子

■はじめに
PDFは、異なるプラットフォーム間でのレイアウトの再現を可能にする画期的なフォ ーマットである。Acrobat4.0 では2バイトフォントの埋め込みが可能になり、より精度の高い再現が可能になった。このフォントエンベッドに関して、PDFの作成からクライアントとの校正のやり取りや製版工程への利用まで、プレゼンテーション及び質疑応答が行われた。

■プレゼンテーションに先立って(アドビシステムズ株式会社)
現在、DTPによってデザイン・製作工程はデジタル化されたものの、その校正やデータの受け渡しになるとアナログに頼らざるを得ないのが現状だ。このアナログ部分を デジタル化するのがPDF。フォントエンベッドにより制作者の意図通りの体裁を再現し、データを圧縮することでネットワークでの送受信を可能にした。PDFを利用することで、デザイナーが電子メールでデータを校正者に送り、校正者はPDF上に修正を書き込んでデザイナーに戻すというワークフローができる。プリプレス工程でも、ネットワークを使ってデータを送るということが可能だ。今後、PDFの比重は非常に高くなっていくだろう。

■NewCIDフォントについて(株式会社モリサワ)

●フォントエンベッドとは?
PDFではフォントを丸ごと埋め込んでいる。コード、アウトライン、ヒント処理の情報まで含めて埋め込むため、検索したり、字形を変えることなく出力したりすることが可能なのである。またエンベッドされたフォントには、出力解像度の制限がない。 出力プリンターの解像度に準じて出力することができる。さらに、サブセットで埋め込むことで、ドキュメントに含まれる文字種のみエンベッドされる。

●フォントエンベッドの注意点
・OCFと既存のCIDフォントは埋め込むことができない。埋め込み可能なものは、新たにNewCIDとしてフラグを立てている。
・Acrobatのタッチアップ機能では、同じフォントがないと文字を置き換えることができない。
・Windowsで作成した縦組みのデータをプラットフォームをまたいで修正する場合は 、同じように再現されないことがあるため注意が必要である。  など

●アウトライン抽出について
イラストレーター7と8以外でもアウトラインの抽出をするためにはATMのバージョンアップが必要である。次のNewCDIのパッケージにはATM4.5Jを添付する予定。

●New CIDとOCFの共存について
フォントメニューネームを変えたため、1台で共存できるようになった。イラストレーター7.xJ、8.0Jでは、NewCIDフォントが優先される。OCFを使うためには、システムフォルダからNewCIDを回避してリセットする必要がある。さらに詰め処理に相違があるため、NewCIDフォントを使用する場合は、必ずATMフォントを使用するようにしたい。 など

●NewCIDの販売について
パッケージ構成が変更される。従来は高解像度用には低解像度用のインストーラーも入っていたが、これからは低解像度用と高解像度用とを分けて配布する。

■PDFとフォント(大日本印刷株式会社)

●校正に使用した事例
イラストレーターでパッケージデザインを作成し校正時にPDFを使用した。クライアントの中にはアクロバット上にコメントを書き込んで戻してくるところもあった。アクロバットを使用するケースが増えており、現在10社近くのやりとりに使用している。
カラープルーフを持参するという物流のコスト削減と時間の短縮ができ、お互いの効率化につながった。フォントをアウトライン化していたときよりエンベッドの方がデータが小さいため、今回のように画像メインのものでも、データは2/3くらいに圧縮できた。また、本物のフォントイメージで確認できたことがよかった。

●PDF入稿・印刷の事例
元データは25MBだったが、画像に圧縮をかけない方法で、19.5MBで入稿された。これ は和文5書体、欧文2書体がエンベットされた状態である。また、現在PDF1.3を直接リップする装置がないため、PDFを一度PSに変換して出している。エンベッドされたフォントは見事にアウトライン化され、問題はなかった。 画像等がすべて1枚のデータで来ることが非常に大きなメリットである。画像リンクに関するトラブルの心配がいらない。また、エンベッドすると文字化けの危険がないので、印刷サイドとして扱いが非常に楽だった。

■広告制作ワークフローとAcrobat(株式会社 電通)

●Acrobat4.0によるワークフローの革新
多彩な注釈ツールにより、従来のアナログ校正感覚で直接PDF上に赤字可能になった 。また、フォントのエンベットにより、忠実は再現不可能だったウィンドウズ上でも原稿を確認できるようになった。そのため、クライアントとのやりとりがオンライン上で実現した。

●デジタルワークフローの実例
校正をPDFで行った。PDFをモニタで見ながら電話を使ってリアルタイムで打ち合わせを進めていくようなこともあった。実際のアナログ部分である平台校正がほぼ1回ですむため、時間とコスト削減につながる。

●PDFファイルの可能性
4.0でエンベットできることで、デジタル送稿におけるフォントの問題が解決されるだろう。これが、デジタル送稿の実現を加速するのではないかと期待している。また、Acrobat4.0のタッチアップ機能により、PDF上で文字を差し替えたり、写真を修整、移動することができるため、出稿直前の修正が可能になった。
技術的には、オンライン校正、デジタル送稿の問題点のかなりの部分が解決し、制作の川上から川下までシームレスにつながるワークフローが可能になった。あとの実現には、それを使う人間の自己変革と厳密な運用ルールの作成が必要であろう。
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