 |

 |
7月28日(水)
【Keynote Sessions for Enterprize】
第三部 企業のドキュメント管理におけるPDF |
記録担当:苅部 尚子 株式会社メディアリュウム
|
■はじめに
企業組織の中におけるドキュメントワークフローにPDFを取り込んでいる事例が2例紹介された。
■CyberDoc:ドキュメントの電子化とマルチメディア配信のグローバルでの取り組み
(今井氏)
●CyberDocプロジェクトの概要
横河電機社内のカタログ・仕様書・マニュアルなどのワークフローを電子化,データベース化およびマルチメディア配信するプロジェクトとして1997年2月にスタート。次のような目的で、電子化の基準、仕様が求められた。
・従来の紙中心のドキュメント業務のネットワークへの対応
・海外拠点でのローカライズの効率化
・大量印刷、大量在庫の解消
●従来のワークフローと将来像
これまで、国内ではPageMakerで作成した日本語のデータを印刷、保管して各地へ送付し、そこからユーザーに配布する形式を取っていた。また、海外へはPageMakerのデータを送付し、拠点で翻訳、印刷、保管が行われ、さらにそこからドキュメントを必要とするユーザーなどに送付されていた。
新しいワークフローでは、DTP作業後のデータをデータベース化し、WebまたはCD-ROMで配布する。また、POD(プリント・オン・デマンド)で必要なときに、必要な場所で、必要なものを、必要なだけ印刷配布することにした。
●制作基準書の作成
次のようなシステム構築への要求を挙げ、これらに基づいて制作基準書を作成した。
・海外の生産拠点で情報を共有できること
・データの体裁を保ったまま閲覧できること
・PODできること
・ネットワーク配信に適していること
・拠点ごとの事情に応じた表示制御ができること
●CyberDocシステムのワークフロー
Lotus NotesとWebブラウザを組み合わせたシステムを作成した。このシステムでは、DTP作業後にPDFファイルを作成し、公開日、名称、使用権限などの情報を付けてデータベースに登録する。登録されたドキュメントは公開日に自動的に閲覧可能な状態になり、使用期限を過ぎると閲覧可能な状態から外される。CD-ROM作成ではデータベースから目次や索引情報をエクスポート後、VBAを使ってハイパーリンクを一括作成できるようになった。
●CyberDocシステムの今後
PODを発展させ、ドキュメントの受注から発送までのワークフローをネットワーク上で一元管理できるようにしたい。また、他国語翻訳についてもデータの受け渡しをFTPで行い、テキストのみを抽出して翻訳し、もう一度タグと合体させることによりフローを簡略化させたい。
■PDM&PDF(浮田氏)
●シュルンベルジェ社のドキュメント管理システム
同社は石油探査、石油掘削などを行う多国籍コングロマリットで、測定機器をはじめ、制御ソフト、解析ソフトなどを社内制作している。これらの設計図面などをPDM(Produbt Desigh Management)でPDF化して管理。
●PDM(Product Design Management)
PDMとは、コンカレントデザインにおいてドキュメントの設計などを一元的に管理するシステムであり、図面管理システム、部品構成管理システム、設計変更管理システムなどから構成されている。図面サイズの縮小、回転機能などに加え、ISO9000の要求する情報をPostScriptファイルに記述、印刷する機能がある。
●PDFを使ったドキュメントワークフロー
PDMの印刷コマンドから、自動的にPDFファイルがサーバに登録される流れ。完了報告はメールで行う。なお、変換前のPostScriptファイルには、ページサイズを指定するコマンドを入れる。これはDistillerのデフォルトの設定により、PDFが一定の版型にトリミングされてしまうのを避けるためである。さらにAcrobat3.0まではPDFのサイズに45インチの制限があったため、それ以上の大きさのものは45インチ以内に縮小する。
認証はファイル単体に行うのではなく、システム全体に行うようにしている。各社員の電話番号、Mail Address、休暇状況、所属などを管理できるLDAP(Light
Directory Access Protocol)の導入が完了し、世界各地の事業所から、検索を行えるようになっている。LDAPには認証機能もあるので、複数のシステム上に複数のユーザー名と複数のパスワードではなく、単一のユーザー名とパスワードの組み合わせでSSO(Single Sign ON)環境の構築を目指している。
ここでもその一環としてWWW Server単体での認証から、LDAP Serverによる認証への切り替えを計画中である。
●ワークフローの認知
ワークフローにPDFを取り入れるにあたり、PDM関連のマニュアルをPDFでのみ配布するなどして、PDFに馴染まざるを得ない環境を強いた。
PDFの導入によるメリットは、印刷しなくてもデータの内容を確認することができるようになったこと、DistillerをPostScriptファイルの判断基準とすることにより、ファイルの正当性を確認できるようになったことなどが挙げられる。
●使用ツールの不備
Microsoft社のWordを使用しているが、不安定である。さらに、Microsoftのプリンタドライバを使ってトラブルが起きたこともある。Acrobat自体にも問題がある。日本語フォントを使って作成した文書は、英語であっても英語版のReaderで読むことはできない。Acrobatはもっと機能を絞ったフォントに縛られないものがあってもよいのではないか。
●ワークフローの今後
WWWのPDFへの関わりを深めること、PostScript3への対応、全文検索環境の構築などを考えている。特に制作の中間過程でXMLを導入し、ドキュメントを動的に生成したい。ドキュメントの最終形態は、やはりPDFと考えている。
■質疑応答
Q:(今井氏へ)マニュアルをPDF化したときの、ユーザーの反応は?
A:アンケート調査によると、6〜7割が受け入れ、残りは紙がよいと答えた。流れとしては受け入れる方向だった。紙で発行していた2万数千部のマニュアルをCD-ROMだけで発行したところ、数年に1回しか発行できなかったのが毎年できるようになった、などのメリットが大きい。
Q:(浮田氏へ)筋のよいPostScriptファイルを作るコツは?
A:バージョンの新しいAdobeのPS Driverを用いること。また、PDFファイルが何とか作成できたのであれば、そのPDFファイルから、Acrobat3の環境ならば、Acrobat
Readerで開いてAdobe純正PS DriverでPSファイルを作り直すこと。Acrobat4であれば、直接PSファイルに書き出すことで筋の良いPSファイルに作り替えることができる。
■所感
いずれの事例も規模が大きく、構築に時間と技術を要するが、いったんシステムが運用されはじめると、規模が大きい分メリットも大きいと感じた。また、Acrobat4.0が発売され、とかくフォント関連の話題が多い現在、浮田氏の「フォントに縛られないAcrobatがあってもよいのでは」という指摘は新鮮だった。
|
|